• テキストサイズ

☆2016企画バトンリレー☆

第5章 企




▼視点:菅原


ランニング中、俺はさっきの会話を思い出していた。
月島はああ言っていたけど、あれは絶対に何か知ってた顔だ。

ちらとの方を見る。
いつも通り、部活に打ち込んでいる一生懸命な。

もし、本当に青城の及川が従兄弟だとしても、なんで隠してるんだろ。
まぁ、恐らく春高予選の邪魔にならないように…とか考えてだろうけど。

「なら、やりかねん」

そんな事を考えながら、ランニングは終わった。

「そんな考え事していたら、練習に身が入らんぞ」

さすが、大地さん。
よくぞ、御見通しで。

「そんなに気になるなら、聞いてみればいいだろ、直接」

「いやさ、でも。わざわざ隠してる事を聞かんでもなーとかおもったり?」

ちょっと、が可哀想な立場になりそうだべ?と一年の方を目で指すと、「確かにな」とため息混じりに呼応する。

「まぁ、聞くなら、あいつらのいない所で、かなぁ?」

結局聞くんか、と突っ込まれながら練習を再開した。



練習が終わり、西谷達といつもの坂ノ下商店に向かっている時、校門の方から、二人分の声がした。

「お前、大王様の従兄弟なのか!?」

『もう、ほっといてよ』

あれが俗にいう売り言葉に買い言葉ってやつか…へー。
そうこうしている内に、こっちに向かって全速力のを、おれは腕を取って捕まえた。

「はい、ストーップ。泣きながら走ると怪我するぞ〜」

『菅原先輩…、聞いてましたか?』

「ん?が及川の従兄弟だってこと?」

やっぱり、と肩を落とす彼女の頭を撫でながら、

「もう、皆知ってるぞ?今日、部室でその話してたんだ」

『もしかして、つきし…』

「月島も何も知らないっていってたけど?」

そうですか、と胸を撫で下ろす姿が可愛くって、頭を撫でる掌にじんわり汗をかきだした。
やばいと思って手を離すと、続け様にこう聞いた。

「及川と付き合ってんの?だから、内緒?」

そう訊くとブンブンと頭が取れる程首を横に振る。

「そう、良かった」

俺の言葉の意味がわからないと呆けている彼女の顔を両手で包むと額に唇を当てた。

「俺も候補に挙げといてな」

そう囁くと、

真っ赤な顔の彼女の手を引いて坂ノ下商店まで歩幅を合わせて歩いた。

/ 12ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp