第8章 昔の味方は今日の敵
『辻斬り?』
土「そうだ、巷で流行っているらしい。まぁ・・・・・一応気を付けとけや」
私はトシの部屋でせんべいを食べながらそう言った。仕事は終わらせてあるし、今は昼休み中だ。
辻斬り・・・・・・久しぶりに聞く言葉だ。最近、特に何もなかった。
『・・・・ん?一応ってどういうことですか?』
土「お前はそんじゃそこらの辻斬りにゃ、やられねーだろ」
私のこと化け物みたいに扱うのやめてほしいんだけど・・・・・・
そしてそれに慣れた私はどうなんだろうか?
土「・・・・だが、今回は相当達のわりィ相手見てェだぞ」
『身元が分かってるんですか?』
私のその言葉に、トシは首を振った。
土「違ぇ・・・・・・被害者は皆身元がわからねぇ程壊れてやがんだ。しかも被害者は全員幕府関係者・・・・・随分怨みの強い奴だろう」
『・・・・・で?だからなんなんですか?』
土「ハァ・・・・・・つまり、お前は元攘夷志士だった。それどころかその時代の英雄様だ。そんな人間が幕府に寝返ったって聞いたら・・・・・・」
トシは、わかるよな?と口には出さないが目で合図する。
『まぁ・・・・・気を付けときますよ』
私は立ち上がると、刀を持ち、部屋から出ようとした。
が、トシにそれを阻まれた。
『何ですか?』
恨めしそうに見上げると、トシはいつになく真剣な顔をしていた。
土「・・・・・わかってんのか?」
『だ~か~ら~!!わかってるって言ってるじゃないですか!!』
土「態度からして分かってないんだよ!お前は・・・・・・」
『わかってますって。そんなに馬鹿じゃないんですよ?』
トシは私の態度にため息をついた。そんなトシに私は触れるだけのキスをした。
土「!?」
『心配しないで?私だって、生半可なお嬢ちゃんじゃあないのよ。一応舞鬼神だし、そんなに油断もしない。トシが一番知ってるでしょう?私の強さ』
そう言って、笑うと、トシはもう一度ため息をついた。
土「もういい。お前は俺が護ってやる」
『・・・・・トシよりも私って・・・・強いよね?』
土「・・・そこ・・・・つっこむか?」
『だってほんとのことだもん』
トシは私の頭をぐしゃぐしゃに撫でると、ぼさぼさの髪にキスをした。
土「そこはかっこつけさせろ」
『・・・・・知らな~い』