第30章 三日月の水の底照る春の雨
銀「まあ、とりあえずよかったんじゃねぇの?思い出させることは出来るみてぇだし」
あの後、ジミーは屯所に帰った。
なるべく私の話題を増やして、みんなの催眠波を解こうっていう魂胆だ。
そして今は、銀時と私の二人きり。
神楽ちゃんと新八くんはお妙さんのところに行っている。
『うん、それはよかったんだけど・・・』
銀「けど?」
『あの・・・女。ちょっと怖いんだよね。なんか、トシのため・・・トシの傍にいるためなら何でもやりそうっていうか・・・』
あの女・・・眼が異様だった。
私を見るあの眼は、憎悪に憑りつかれていて、見ただけで背筋が凍った。
多分、トシの傍にいるためなら手段を問わないだろう。
今、こんな事態になっているからなおさら・・・だ。
銀「・・・お前ならどうする?」
『・・・まず、私はこんな馬鹿げたことはしないけど』
銀「女の嫉妬は怖いねぇ。俺も気をつけよっと」
『いや、アンタ男じゃんか』
銀時は気づいていないのだろうか?
女の恐ろしさを・・・
私は普通の女とは少し違う。
だから、分からない感情も多いが・・・
憎悪に憑りつかれ、本能のままに生きる奴らは幾度となく見てきた。
その中でもあの女は・・・
『ジミー・・・大丈夫だといいけど・・・』
願いを込めたような私の言い草を、銀時は笑い飛ばした。
その罰が当たったのだろうか。
数日後
ジミーは意識を失った。