第26章 裏表なきは君子の扇かな
『あ~・・・疲れたぁ、ただいまぁ』
見廻りから帰ってきた。
屯所の問に立っている警備をしている二人の隊士に挨拶をし、中に入ろうとすると・・・
『・・・へ?』
刀を突きつけられた。
「部外者は立ち入り禁止だ、去れ」
『は?』
「コスプレはよそでしてもらおう」
刀は研ぎなおしてもらっている最中で、今は持っていない。
それよりも・・・なんで私がわからないの?
『ちょい待とうか?』
私は隊服から警察手帳を取り出し、隊士に見せつける。
『真選組参謀の藤間瑠維です。これで文句は・・・っ!?』
いきなり刀で斬りかかられ、慌てて後ろに飛んだ。
「貴様、それをどこで手に入れた!」
『どこって・・・』
「真選組参謀はお前のような汚らしい女ではない!ルイさんを侮辱してるのか!」
・・・・はい?
「事情を聞く、とりあえず中に入れ!」
「いや、ここで・・・」
と殺気立てて私を睨んでくる。
『・・・えと?』
待って?状況がいまいち理解出来ないって言うか・・・
これ、何が起きてんの?
ルイさんって誰?
いや、ドリーム設定してる人にはまったくわかんない人だよ?ドリーム設定してない人でも、私の名前カタカナ表記ではないし!?
(ドリーム設定なしの場合、主人公の名前は藤間瑠維です)
「女だろうがやっちまえ!!」
刀を抜き、斬りかかってくる隊士たちを軽く避ける。
私自身、刀を持っていなくとも十二分に戦えるため、特に不自由はしない。
私はぐっと地面を踏み、思いっきり跳躍した。
そのまま塀を越え、屯所の中に入る。
「侵入者だ!!」
「女が入り込んだぞ!!」
『気絶させるべきだったかな・・・』
二人の隊士の声で、屯所があわただしくなる。
私は屋根伝いで、自分の部屋へと向かった。