第22章 再確認
夜「隈がひどいですよ?美容に悪いんじゃないですか?」
ニコニコと笑いながらそう言ってくるが、こういう男がどんな奴なのかは・・・神威で体験済みだ。
『ええ・・・実は、どこぞの死神様に命を狙われているのような気がしてならないのです。どこの・・・とは言いませんが』
負けじとにこやかに笑いながら嫌味を返す。
夜「大丈夫ですよ。どうやら死神はあなたのことは狙いません」
『・・・まるで、自分が死神のような言い方ですね?』
夜「私が死神だったら・・・の話です。あなたの強さは天下一品です。攘夷浪士からも、幕府、天導衆からも恐れられているあなたに・・・手を出そうなどとは考え難いでしょう」
変な空気が私たちの間を流れる。
土「・・・瑠維」
『・・・そうだといいですね。血に飢えた狂犬でも噛みつく相手には気を付けた方がいい』
土「いい加減にしねぇか。まだ下手人はわかってない」
怒りを押し殺したような声色だ。
まあ・・・今回は私が悪かったが・・・この男が怪しいことはトシもわかっている。
『・・・すみません。つい・・・』
夜「いいえ、疑われるのは当然ですので。・・・あなたがゆっくりと眠れることを願っています」
・・ゆっくりと永遠に眠ることを?
これも口には出せない。
夜「それにしても、本当に隈が酷いですよ。よく眠れるお香を紹介しましょうか?」
夜右衛門は私の目の下に手を伸ばす。
振り払おうとしたが、その必要はなかった。
土「すまねぇが、ウチの隊士に手を出すのはやめてくれ」
顔だけこちらに向け、夜右衛門を睨みつける。
夜「ああ・・・すみません」
夜右衛門は手をひっこめ、流れていく景色に目を向けた。
『隊士・・・だからですか?副長』
そう笑いをこらえながら言えば、
土「さぁな」
と流されてしまった。
『素直じゃないっていうか・・・サービスが足りないっていうか・・・』
ぶつくさ小言を言いながら、外の景色を見る。
土「・・・文句があんならはっきり言え」
『いえいえ。なんでもありませんよ?』
めんどくさそうにこちらを見てくるので、にこやかに笑う。
『なんでもないですってば〜』
そう笑いで誤魔化しながら現場までの道のりを走って行った。