第21章 初めての・・・
久々の里帰りだ。
『え?トシか総悟と行けばいいじゃないですか。故郷なんだから』
武州に新隊士を募りに行くことになった。
俺としても総悟かトシと行く予定だったが、あいにく二人とも江戸でどうしても二人が外せない用事が出来たのだ。
そこで俺は、真選組参謀である瑠維ちゃんと行くことにした。
近「二人とも外せない用事があってさ。二週間だけだから!」
瑠維ちゃんはほんの少し悩むように首をひねったが、すぐに笑顔になった。
『わかりました、いつですか?』
近「来週からなんだけど・・・元々総悟と行く予定だったから旅館が二人部屋なんだよね」
『・・・別にいいですよ?近藤さん、お妙さんしか眼中にないじゃないですか』
それに、私もトシにしか興味ないですから。
トシが聞いたらきっと喜ぶんだろうな。
トシも総悟も瑠維ちゃんの前ではよく笑う。
総悟は特にそうだ。他の隊士にも信頼されていて、剣の腕もたつし頭の回転も速い。
近「じゃあ、来週からお願いするね」
『はい』
お妙さんはとにかく綺麗だ。凛としていて芯があって、一厘の花のようで・・・
瑠維ちゃんは・・・人に弱味を見せず、自分の足で精一杯這いつくばって生きてきたんだろう。
雰囲気に出ている。
明らかに他の女とは違う強さ、逞しさ、誠実さ、賢さ、美しさ・・・
トシもイイ女に出会えたなと思える。
ミツバ殿も美人で気立てが良くて・・・いい女性だった。
トシは忘れきれてない。でも、瑠維ちゃんはそれすら許してしまう。
精神的な二股をかけられようが・・・愛し続けている。
いや、忠誠心といっても過言ではないだろう。
近「・・・忠誠心・・・か」
瑠維ちゃんは幕府に忠誠など誓っていないといった。
憎いし、恨んでいる・・・そう言った。
もし、トシがいなかったら・・・万事屋のもとに来なかったら・・・
瑠維ちゃんは今頃・・・
敵だったのだろうか?
それとも
死んでいたのだろうか?
どっちにしろ、ここに来ることによって瑠維ちゃんは救われたと感じている。
自己満足と言われればそうなのだろうけど。