第15章 き・・・季節が真逆だ・・・夏祭り
私はトシの手を振り払う。
その行動が意外過ぎたのか、トシはほんの少し驚いた顔をして立ち止まり、振り向いた。
『どうしたの?』
近づきそう尋ねると、トシは、いや・・・と口ごもった。
土「なんでもねぇ。巡回戻るぞ」
そう言い、大通りに戻ろうとする。
そっちが連れ込んだくせに・・・自分勝手だなぁ
一人でむくれていると、小さないたずら心が芽生えた。
『ト~シ!』
後ろを向いていたトシの背中に思いっきり抱き着いた。
腰に手を回し、ぎゅうっという効果音が付きそうなくらい抱きしめる。
『やきもち?』
その単語にトシは反応をしめした。背中がわずかに動いたのだ。
『そうでしょ?やきもち・・・・鬼の副長がやきもち・・・ねぇ・・・』
からかい口調でそう言う。すると突然、トシが無理やり体を反転させてきた。
そのまますっぽりトシの胸に納まる。
土「わりぃかよ」
照れたように呟くトシがどうしようもなく愛おしくて、どうしようもなく可愛かった。
『・・・大好き』
見上げ、そう笑うと、トシも自嘲気味に笑った。
そのまま何分かその状態で、私はしがみ付くように抱き着いていた。
トシの顔に埋めていた顔を上げ、薄い唇にキスをした。
『・・・今日さ・・・近藤さんに邪魔されたから・・・』
それだけ言うと、また顔をもとの状態に戻した。
だが、頤に手をかけられ唇を奪われる。
『ん・・・・』
何度しても慣れることが出来ない。体に力が少しずつ入らなくなってくるのだ。
甘い感覚に脳がマヒする。溶けそうで、激しい。
なのにそれとは反対に、触れてくる手は優しい。
唇を離すと同時に、私は崩れ落ちそうになる。
だが、それを支えるのもいつもトシの仕事。
『・・・長い』
土「ああ、わざとだ」
しれっとそう言うトシもまたかっこいいだなんて、私は病気なのだろうか?
違う、断じて違う。これは・・・
『・・・夏バテということで・・・』
そう考えておこう。