第2章 合同演習って・・・・サボりたい
『・・・・・油断しすぎよ・・・・・』
私は赤く染まった前髪をかきあげた。手には真っ赤な血が付いてくる。
辰羅達が襲ってくる。その全てがスローモーションのように見えた。私は辰羅達の懐に潜り込み、一人ひとり急所をついていく。
そうだ・・・・・忘れていた。この感覚・・・・・
赤い血、それは命を思い出す材料。そして・・・・私の中から、かつての・・・・舞鬼神の感覚を・・・・・取り戻す最高の材料。
私は紅桜に手をかけた。
今なら幕府だって落とせる。憎いやつを殺すことだって出来る。
真っ赤なものが私を・・・・・・
その瞬間、私の頭にはある記憶が蘇った。
「もう平気ですよ?よく頑張りましたね。これからはもっと・・・・自分を・・・・人を・・・・労わってくださいね?」
「約束・・・・ですよ?」
先生の声、顔、そして仲間を護ると言う約束。
私はそこで正気に戻った。
そして辺りを見渡す。そこは地獄絵図と化していた。
真っ赤な血の海。
警察関係者は誰一人殺していないようだった。
私はそのまま紅桜から手を離す。
一体・・・・・何をしようとしていたんだろう?
そんなの・・・・わかってる。
殺そうとしたんだ。
大切な人たちを・・・・・・もう、誰も失いたくない。
そう考えてた私の奥底に・・・・・
こんな感情があっただなんて・・・・・
人を殺す事が楽しくて仕方がない。
黒いケモノ?
私は・・・・・・晋助みたいになって・・・・・
違う、私はただ己の快楽の為に・・・・・?
私は手のひらを見つめた。
一体これは誰なの?
本当に私なの?
『やぁ・・・・・・・』
私の頬をしずくが濡らした。
それはすぐさま溢れだす。
『いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
一体私は・・・・・・何なの?