第26章 交差する想い
澤村先輩には言えなかったけど、本当は、私はこの人の事を・・・知っているから。
中学時代に、何度も大会で見た事がある。
男女の違いはあっても、同じように小柄で・・・同じポジションで・・・
私なんかとは全然違うプレーで、見る度に圧倒されていた。
だからさっき、澤村先輩に紹介されるまでは、それこそ他人のそら似かと思ってた。
同じポジションを経験してた者として、密かに憧れていた事は・・・今は秘密にしておこう。
その後すぐ、私はセッターにポジションチェンジ・・・しちゃったしね。
交わした手を見つめながら、私はそっと息を吐いた。