第10章 烏野高校男子バレー部
春休み中に兄2人と私の強引なイメチェン作戦でプチモメはしたものの、結果、背中の中程まであった髪をバッサリ切り落とし、クルクルふわふわにパーマをかけて肩に付く程度の長さに合わせ、そして最後まで迷ったカラーリングは、ミルクティーブラウンに決めた。
それはまるで、今までスポーツなんてやって来なかったんだと思われたいかの様な姿で。
最後までカラーリングに対して抵抗があった桜太にぃも、慧太にぃが仕上げてくれた出来栄えを見ると、
桜「ま、似合ってるし良いんじゃない?もう俺は入学式で生徒指導に呼び出される覚悟は出来たよ・・・」
と、諦めモードを取り入れつつ笑っていた。
そんなバタバタを乗りこえ、入学式を迎える。
確かに最初はザワついていたものの、そもそも校則がそんなに厳しい校風ではないため、特にお咎めもないまま入学式を終えた。
帰り際、廊下を歩いていると教頭に声をかけられたけど、髪の色などを指摘される前に、先にこちらから、明らかにカツラである事がバレている教頭の髪型を« 素敵ですね、よくお似合いだと思います »・・・と、褒めると車に気をつけて帰りなさい、と、ごく普通に挨拶されて終わった。
同行保護者として一緒にいた桜太にぃは、一連の様子を見ると大きく息を吐き、
「慧太がここにいたら大変だったかもね、きっと笑いが止まらない感じで・・・」
なんて言いながら、つくづく保護者は自分のみで良かったとこぼしていた。
帰り道、桜太にぃは新入生が退場した後は保護者の役員決めや、その他いろいろな話があるとの説明があり私とは帰りまでは別行動だったので、その間の事を色々と聞いてきた。
「そう言えばさ、教室に行ってからのホームルームとかは、どんな事したの?」
『んー、普通。自己紹介とか、明日からの予定表配布されたり、教科書をしまうロッカーの割り当てとか・・・そんな感じ?』
「知ってる子とかいなかったの?同じ中学出身とか?」
『いるにはいたけど・・・男子だし。あんまり話さないかもね』
バレーは辞める。
そう決めた矢先のクラスには、何よりもバレーを真剣にやっていた、影山飛雄がいた。
アイツは、天才と呼ばれる程の実力があって、確かに凄いなと私はいつも感じていた。
でも、その独裁的なトス回して同じチームの中では溝が深まり、中学のバレーの終わりでは厳しい立場にいた。