第26章 交差する想い
これぞ病院食!という内容の朝ごはんをキレイに平らげ、あとは診察を待つばかりという状態で身支度をする。
自分でお膳下げが出来ないから、回収しに来てくれるのを待ってればいいんだけど・・・
昨日から寝かせられっぱなしだったし、ちょっとそこまでの距離なら・・・自力で行けるんじゃないかとベッドから抜け出してみる。
怖々と床に足をつけると多少の痛みはあるけど、体重を掛けなければ前に進める感じがして、落さないようにお膳を持ち少しずつ前に進む。
・・・やれば出来るじゃん、私!
嬉々としてドアの前まで辿り着き、ひと休みする。
ずっと歩くのは、厳しかったか・・・
不安定さに痛む足をみつめていると、軽いノックの音が聞こえ、条件反射的に返事をしてしまった。
桜「紡、入るよ?・・・っと・・・」
桜太にぃは、まさかドアの前に私がいるとは思わなかったからか、お膳を持ち立ち尽くしている私を暫く見てから、大きなため息を吐きお膳を取り上げた。
桜「すみません、誰かお願い出来ますか?」
桜太にぃは無言のままドアを開け、目の前のナースセンターに声をかけて私のお膳を下げて貰えるように渡すと、看護師さんには素敵な笑顔でありがとうと言っていた。
そう・・・看護師さん、には、ね。
静かにドアが閉めると、さっきまでの素敵な笑顔はどこへ行ったんだろうと聞きたい位の表情で私をスッと抱き上げベッドの縁に座らせた。
桜「さて、紡にはたくさん聞かなきゃいけない事があるけど・・・いいよね?」
『あ、あはは・・・』
いつもの、いいかな?ではなく。
拒否は許されない、いいよね?って言うあたり。
桜太にぃ、結構しっかり怒ってる・・・
桜「まず最初に、ドアの前で何してた?何の為にそこにいた?それはどうして?紡は今、なぜここにいるのか、理由は分かってる?・・・さぁ、俺が納得出来るように説明してみようか」
・・・かなり御立腹。
ベッドサイドの椅子に腰掛けて足を組み、腕組までする桜太にぃからは、ひしひしと伝わって来るオーラがある。
明け方の桜太にぃとは、別人じゃないか?ってくらいの。
こういう時、言い訳なんかすると・・・更にお説教が厳しくなるのは十分に分かってる。
けど!
もう既に見た目が怒ってるから怖すぎて何も言えないよ!
桜「・・・紡。答えられないの?」