第25章 追憶
桜太にぃはいつだって、私が欲しい言葉をくれる。
いつでも、一番の味方でいてくれる。
『うん・・・ありがとう』
私がそう返すと、頭をポンポンっとしてくれた。
桜「あ、ちなみにさ?そっと背中を押すのと、バーンって押すのと、どっちがいい?」
『えっ?!あ~・・・そっと、でお願いします』
急に聞かれて、とりあえず優しい雰囲気の方を選んでみた。
桜「了解。じゃあ、今回は慧太の出番はないよって言っとくね」
『そういう事?!』
桜「そういう事です。さ、紡が待ち遠しい朝ご飯の時間まではまだ早いから、もう少し眠っといたら?」
時計を見ながら、桜太にぃは私の肩を押して寝るように促す。
私は横になりながら、布団を掛け直してくれる桜太にぃの白衣を掴んだ。
『桜太にぃは、もう寝ないの?』
桜「俺?さっきここでガチ寝したから平気。でも、1度家に戻って身支度してからまた来るけどね。今日は病棟の子供達が待ってるから。紡も含めてね」
「また子供扱い・・・」
桜「紡はまだまだお子様ですよ?」
軽く笑い合いながら、何でもない時間が楽しく思える。
やっぱり、もう少しだけ甘えていたい。
密かにそんな事を思って桜太にぃの背中を見送りながら、そっと目を閉じた。