第25章 追憶
~山口side~
青城との練習試合を見て、正直凄いと思った。
ツッキーはもちろん、影山も・・・日向だって・・・
1年でオレだけ試合出れないのも仕方ないとさえ、納得出来るほどに・・・
ずっと、ベンチ組でも・・・文句なんて言えない、よね。
ー 山口君は男なんだから、これから練習次第でいくらでもチャンスはあるでしょ!! ー
この前の、城戸さんの言葉が浮かぶ。
・・・そうだ!
オレだって・・・オレだっていっぱい練習すれば、いつかは!!
手に持っていたスクイズボトルを、ギュッと握る。
スタメンじゃなくてもいい!
誰かの代わりでもいい!
だからオレも、コートに立ちたい!
いや、立つんだ!!
『おーい!山口く~ん!』
「え?あ、な、なに?」
ボンヤリ考え事をしてたから、城戸さんに声をかけられて思い切りビクついた。
オレ・・・ビビりだと思われたかな・・・
『・・・それ、まだ使う?もし、もう使わないんだったら回収しちゃいたいんだどな?』
城戸さんが指をさしたのを見て、それがスクイズボトルだと気が付いて慌てて持って行った。
『ありがとう山口君。何かゴメンね、急がせちゃって』
「ううん、大丈夫!オレがボーッとしてたんだし」
『よし、これで全部揃った!じゃあ私、これ洗って来ちゃうね』
え?洗って来るって、その足で?!
「え?!お、オレも手伝うよ!城戸さんケガしてるんだし!」
『これくらい私にも手伝わせて?この足のせいで、後半なんにも出来なくて・・・悔しかったから』
悔しい?
城戸さんが?
「城戸さんは、頑張ってたじゃん。1人で敵陣のベンチにいるのに、声張り上げて応援とかしてたし・・・みんな大好き!・・・とか」
『やっ、やめてよ山口君っ!今それ掘り起こすのダメ!!』
さっきの事を言うと、城戸さんはなぜか横を向いてしまった。
「何で?オレはその時、みんなが・・・羨ましかったよ・・・」
オレはベンチにいたから、青城と戦ってたわけでもないし・・・
何より何も出来なかったのは・・・オレだ。
「オレはベンチにいたから、城戸さんがそう叫んだ時、コートの中のみんなが・・・羨ましくて。あぁ、オレもあの中にいたらなぁ・・・ってさ」
あの時ベンチにいたオレは、城戸さんがみんなに声をかけるのを見ていて・・・グッと手を握り締めたんだ。