第7章 嵐の足音
女子がポジション毎に別れて練習してるのを見て、小さい体ながらもボールに俊敏に反応する姿を感心していた。
体育館を半分ずつ使用しているせいか、いつも紡ちゃんはオレの姿を見ると、わざわざ駆け寄り挨拶をしてくれていた。
そんな、何でもない日々の中で。
オレはいつの間にか、小さな頑張りやさんを意識せずにはいられなくなっていた。
他の男子部員達にも、紡ちゃんは噂になっていて、小さくて可愛いだの、顔が好みだの、一生懸命さに応援したくなるとか、体は小さいのに胸は大きいだの・・・それは確かに・・・いやいやいや。
最後のは置いといて。
とにかく男子部員に人気がある事には違いなく、そんな話を耳にする度にオレは何だかムッとしてイラついた。
そっか、オレはあの子の事が好きなんだ・・・
そう自覚するまでに時間はかからなかった。
なのにあの日。
紡ちゃんが選んだのは、オレじゃなくて。
あの時に初めて、失恋の痛みを知ったよ。
そんな胸の奥が痛むのを隠し、岩ちゃん良かったね~なんて上辺だけで言っていた。
月日が流れる中で、紡ちゃんが岩ちゃんといる事で幸せそうにしているのを何度も目の当たりにしていると、いつしか本心から応援したくなっていたのに。
もう、譲ったり、諦めたりはしない。
オレは未だにイライラと落ち着かない胸の奥で、反撃の狼煙をあげた。