第21章 背中合わせの２人

月島君に手を引かれながら体育館に入った後、澤村先輩からのありがた～いお叱りを２人で受けた。

体育館の端で正座してお説教をされる私を見て、桜太にぃは終始、笑いを堪えることが出来ずに肩を震わせていた。

菅「まぁまぁ、大地。もうその辺にしてあげなよ？反省してるみたいだからさ？それに、紡ちゃんに休憩出したの、オレだしね」

懇々と長いお説教の流れに、菅原先輩が助け舟を出してくれる。

澤「まったく･･･今回はスガに免じてこれくらいにしておく。でも、次はないからな」

『はい･･･すみませんでした』

月「･･･ッス」

２人でそれぞれの返事を返すと、澤村先輩はニヤリと口角を上げる。

澤「たが、しかし、だ。２人がいなかった間も、他のメンバーは練習していたんだから、２人には罰として･･･」

菅「えっ？ば、罰？！」

菅原先輩の言葉に、澤村先輩が頷く。

澤「２人でその分、練習はして貰う。清水だって心配してたからな」

そう言って澤村先輩はチラリと横で仕事をこなす清水先輩の方を見た。

『分かりました。マネージャー仕事を放置したのは私です。どんな事でもやります』

何を言われるかはまだ分からないけど、体育館全体のモップ掛けでも、雑巾がけでも、言われた事はやらなければ･･･と腹を括る。

『それで、私は･･･というか、私達は何をすればいいですか？』

澤「そうだな･･･じゃあ、城戸さんがトス上げて月島がスパイク打ち込むのを３０。それでいいかな、清水？」

澤村先輩が清水先輩に声を掛けると、清水先輩は髪を耳に掛けながら私達を見た。

清「足りない。５０で」

『５０？！ですか？！』

菅「し、清水？！本気で言ってる？！」

清「そう。反対側にメンバー入れて、５０が決まるまで。じゃ私、まだやる事あるから」

それだけ言い残して、清水先輩はまた仕事に戻ってしまう。

ただ５０回上げて打つだけじゃなく、決まるまで･･･

想像しただけでかなりの疲労感が襲う。

『５０･･･』

ポツリと呟く。

澤「清水がそう言うなら、仕方ないな。２人とも５０決まるまでだ」

菅「いや、だって、大地？月島は分かるけど、紡ちゃんだよ？！マネージャー補佐なのに可哀想だよ！」

菅原先輩は心配して庇ってくれるけど、でも･･･

フゥ･･･とため息を吐いて、とりあえず立ち上がった。

桜「菅原君？」