第18章 練習試合!
清水先輩と体育館に戻ると、その姿を見つけ澤村先輩が歩いて来る。
澤「城戸さん、着替えて早々に悪いんだけど・・・ちょっとコートに入れる?」
『えっ?!いきなりですか?!』
澤「いやぁ、半分ずつに別れて試合形式やってたんだけどさ、影山が日向に怒り出しちゃってさ」
それを聞いて、影山をチラリと横目に見る。
その顔は、誰が見ても分かる程にふてくされていた。
『また、ですか?』
澤「はは、影山の気持ちもわかるんだけど、日向がレシーブ苦手なのも分かるしね。で、とりあえず影山には少し頭を冷やして貰おうと思って」
頭を・・・ねぇ。
『それで、私はどうすればいいですか?』
澤「影山の代わりにスガをそっちに入れるから、城戸さんはこっちのチームにセッターで入ってくれるかな?俺もこっちに入るし、無理はさせないから」
こっちのチームって。
田中先輩以外の2年生と、澤村先輩の4人?
私が入って5人になっても、私は戦力外だから、攻撃するのは先輩達4人・・・
しかも合わせたこともなくイキナリ?
ちょっと、難しい・・・かな?
『分かりました。でも、3分だけ時間貰えますか?その時間だけでも、呼吸合わせたいので』
私が申し出ると、澤村先輩は快く了承してくれた。
澤「ちょっと今からボール合わせしたいから、そっちのチームは全員レシーブフォローでボールを返してくれ。時間は5分間!特に日向は率先してレシーブな!」
『5分間もいいんですか?』
澤村先輩に言うと、それくらいの方が体も温まるでしょ?と言われた。
アップなしでやるから、その気遣いは嬉しい。
澤「清水、タイマーの準備頼む」
清「わかった」
清水先輩に頭を下げ、私はすぐに壁の花となっている影山の元へ向かった。
『影山?』
声をかけると、ふてくされて前を向いたまま目線だけを寄越す。
『私がヘロヘロになる前に、機嫌直してよ?』
それだけ言って立ち去ろうとすると、影山に上着の裾を掴まれた。
影「澤村さんと縁下さんのトスは、ネットからボール3つ分位がちょうどいい。他の2人は、それより少し低め」
『え?』
影山はそのまま黙り込み、私の背中を押しやった。
ネットからボール3つ分。
『王様、ありがとう!』
そう言うと影山の眉間に深い深いシワが刻まれたけど、そんなの慣れっこだから気にしない。