第17章 陽だまり
清水先輩はそれを見てクスクスと笑いだし、ホントの事よ?と言いながら、私を見ていた。
清水先輩にそう言われると、なんとなく恥ずかしくて両手で顔を押さえ、小動物並みに頭をフルフルとした。
清「・・・なんか今、ちょっとだけ菅原の気持ちがわかったかも」
『なんですかそれ』
私がそう返すと、清水先輩は“ 内緒 ”と言って笑った。
清「支度できたみたいだから、戻りましょう・・・あれ?それは?」
私が紐にテーピングや小さなハサミを通した物をたすき掛けにしていると、それを見て清水先輩が首を傾げる。
『あ、これですか?便利なんですよ?誰かに何かあった時に、パッと動けるから。ハサミは流石に危ないから刃先にケース付いてるのしか使えませんけど』
清水先輩が注目したソレを、指でつまみ上げて下ろす。
清「私にはそんな事、思いつかなかったわ。誰かが怪我とかすると、いつもは澤村達が応急手当してたから」
『そうなんですか?じゃ、私なんかが用意するより澤村先輩達にお任せした方がいいでしょうか・・・』
そう言って、いまかけたばかりの物を外そうとすると、清水先輩はそれを止めた。
清「そんな事ない。城戸さんがそうしてくれると、澤村達がも安心して練習に打ち込めるから。だから、お願いする」
清水先輩に言われ、お任せ下さい!と胸を叩く。
『あっ、でも、本来は応急手当に活躍しない方が、いいんですけどね』
いたずらに笑うと、清水先輩も“ 確かに ”と返して笑う。
その後も体育館へと足を運びながら、清水先輩にテーピングの巻き方とかを聞かれ、私もプロではないので・・・と返しながらも、簡単に説明しながら2人で歩いて行った。