第17章 陽だまり
~菅原side~
早々と学校へ来て、この間までのように門で足を止める。
ポケットからスマホを出し、LINEとか来てないか何度も確認する。
もしかしたら、とか、考えちゃうんだよなぁ・・・
もう1度、スマホを確認する。
それと同時にスマホが震え、メッセージの着信を知らせた。
?!
もしかしたら紡ちゃん?!
急いでメッセージを開いて見る。
“ スンマセン寝坊しました。 でも今、死ぬ気で走って向かってるッス ”
・・・・・・・・・・・・
田中かよっ!!
紛らわしいタイミングでメッセージ送るなよ!!
しかもなんで大地じゃなくてオレに送ってんだ?!
今ので、体中から力が抜け思わずしゃがみ込んだ。
田中め・・・後で遅刻の小言をたんまり言ってやる。
頭を抱え、大きなため息を吐く。
ザッと音を立て、目の前に大きな靴が止まった。
顔を上げると、大地が怪訝そうにオレを見ていた。
澤「こんな所で何してんだ、スガ?」
「あはは・・・おはよう大地。随分と早いね」
力なく朝の挨拶をして、またひとつ、ため息を吐いた。
澤「早いね・・・って、もう8時、回ってるけど?」
「えっ?マジ?!・・・今日は来ないのかなぁ」
澤「来ないって・・・?誰が?」
「紡ちゃんだよ!紡ちゃん!」
大地の問いかけに答えると、あぁ、なるほどねとニヤリと返される。
澤「スガは随分と城戸さんの事がお気に入りなんだな?そんなに待ち遠しいのか?」
「えっ?!あ、いや、そのぉ・・・って、そうじゃなくて!大地こそ待ち遠しいんじゃないの?!」
オレが反撃に出ると、大地は軽く腕を組み考え込んだ。
「ほら、大地だって!」
澤「いや、俺達には待つ事しか出来ないだろ。それがどんな結末になったとしても、だ」
「それは、そうだけど・・・」
オレはまた、ため息をつく。
澤「行くぞ、俺達が遅れるわけには行かないだろ?」
「だね。あ、そうだ!田中が寝坊だって。死ぬ気で走って来るとか?」
澤「またか田中は、しょうがない奴だな。ま、遅れたら遅れたで説教コースだな」
うわぁぁぁ、大地の説教コース・・・
オレは紡ちゃんの事を気にしながら、田中が無事に練習に間に合うことを祈ってやった。
澤「スガ?」
「今行くよ!」
もう1度門を振り返りながら、オレは大地の後に続いた。