第15章 3対3 + 1
影山なら同じ中学だったし、普段からも仲良さそうだし。
「大地、練習が終わったら影山に頼んでみよう。それで、家とか知ってたら一緒に来てもらおうよ!」
澤「そうだな、それしか今は方法ないしな」
清「待って、自宅まで行くのって、今日しかない?」
清水が盛り上がるオレ達の間に入り、ちょっと戸惑っている。
「善は急げ!って言わない?」
オレがそう返すと、清水は微妙な顔をした。
清「ごめん、もし今日行くのなら・・・ちょっと私、都合が悪いんだけど・・・美容院に予約入れてて・・・」
澤「急な事だし、予定を優先してくれて大丈夫だよ。それにまだ、どうなるかも分からないしね」
清「でも、女の子の家に突然男だけで訪ねて行ったら、お家の人ビックリしないかしら」
そこだよなぁ・・・
もしかしたら怪しまれて、門前払いとかされちゃったら、それも困るしな。
でもまぁ、お兄さんと顔見知りではあるから、さすがに門前払いとかはなさそうだけど。
澤「それじゃ、その辺も含めて影山に聞いてみよう。続きは練習終わってからだな」
清「こんな時に一緒に行けなくてゴメン」
申し訳なさそうにする清水にオレと大地は、気にすんな、と言って練習の輪に入っていった。
もし、紡ちゃんがマネージャーとして入ってくれたら。
今まで以上に同じ時間を一緒に過ごせて、楽しいだろうなぁ・・・
辛い練習とかも、張り切っちゃったり?
まだ、確定も何もしていない事も忘れ、ウキウキとしてしまう。
澤「スガ、顔が緩みきってるけど大丈夫か?」
訝しげに大地がオレを見る。
「緩みきってるって、なんだよ大地~。こんな好青年、他にいないべ?」
澤「よく言う」
お互い軽口を交わしながら柔軟をしっかりこなす。
澤「ようっし、それじゃ、スパイク練習!スガと影山はトス上げな」
「おぅ!任せて!」
大地の掛け声に大きく返し、コートの中へと駆けていく。
この時間だけは、今だけはオレはまだ正セッターでいられる。
その気持ちを胸に、ひとつずつ大切にトスを上げた。