第15章 3対3 + 1
その反応の速さに、思わず笑ってしまう。
『そんだけ威張れるなら、元気に生きてるから大丈夫だね?』
肩で息をしながらも、王様と呼ばれた事にあれだけの返事が出来るなら、少し休めば平気だろう。
・・・問題は、こっちか・・・
通常運転の何倍も動き回って、何度も顔にレシーブやらトスを受けて。
『日向君?大丈夫?』
日「き、城戸さん・・・オレ達、勝ったよ・・・」
『うん。ちゃんと見てた。小さな巨人への第1歩だね?』
日向君にそう言うと、パッと顔を輝かせた。
日「やった!城戸さん!!」
『うわぁッ!』
日向君が急にガバッと起き上がり、そのままの勢いで抱き着いてきた。
『ちょ、ちょっと、日向君?!』
腕が痺れてくるほどに、強い力。
これは、解けそうもないな。
そう、諦めたとき・・・
菅「こっ、コラァ!!日向ぁ!!」
影「お前!!何してやがる!!」
両サイドから菅原先輩と影山が走り込んで来て、日向君を私からバリッと引き剥がした。
影「ったく!そんだけ元気残ってんなら、俺達にはまだ、やる事あんだろ!」
そう言いながら、影山は日向君を引きずって澤村先輩の方に歩いて行った。
菅「紡ちゃん、大丈夫だった?」
菅原先輩がひょこっと顔を覗いてきた。
大丈夫か?と聞かれると・・・
私は自分で両腕を触ってみる。
そこにはまだ、日向君の腕の感触が残っていた。
小柄だと言われていても、男の子の力って凄いんだ・・・
私がいつまでもそうしているのを、痛かったとか、怖かったとかと間違えたのか、菅原先輩がそっと抱きすくめる。
菅「日向のやつ急にあんな事したら、ビックリしちゃうよね?そうだよね?」
菅原先輩はそう言いながら、まるで小さい子供を慰めるように頭を撫でる。
『あの、菅原先輩?』
声をかけて見るも、自分の世界に入ってしまって聞こえていないのか、私を離す気配はない。
どうしたものか・・・と、目だけで周りを見回す。
う~ん・・・誰か・・・気付いて下さい。
念を送るように見ていると、清水先輩と目が合う。
すると、声に出さなくても理解されたのか、清水先輩がスッと歩み寄ってきてくれた。
“ スパーーーーーン!! ”
菅「痛ってぇ~!」
私からは何が起きているのか分からず、ただ音にビックリした。
菅原先輩が私を解放し後ろを見た。