第14章 眠れぬ夜と揺れる思い
もう出かけたの?と疑問顔をしていると、それに気付いたのか、
慧「連休だったから早めに行って、カルテのチェックするとか言ってたよ」
そう付け足してくれた。
私は用意してくれた朝食をつつきながら、まだ、行くか否かで揺れていた。
慧「アイツらの試合、行かないのか?」
そう聞かれ、箸が止まる。
何も言えないでいると、頭に手をポンッと乗せられ、
慧「迷ってんなら、行ってこい。行かないでうだうだするなら、行ってスッキリして来い。じゃ、オレも早出だからもう出るから」
そう言って私の頭を散々グシャグシャにかき混ぜてから静かにリビングから出ていった。
行ってスッキリ、か・・・
時計を見ると、既に8時は回っている。
私は急いで食べ終わると、未だかつてない速さで制服の袖を通した。
玄関で慧太にぃとかち合う。
私は飛び込む様に靴に足を入れ、鞄を引っつかみドアを開ける。
『慧太にぃゴメン!鍵閉めお願い!』
返事も聞かずに私は学校へと駆け出した。
慧「まったく、うちの姫さんは手が掛かることで。でも・・・今しか出来ない青春、たっぷり楽しんで来いよ?」
私が飛び出して言ったあとにポツリと呟かれた言葉なんて知らない。
私は風に遊ばれ乱れる髪も気に止めず、ただ一心に走り続けた。