第39章 聳え立つ壁
日「次は、あの眉ナシのデッカイやつがいる鉄壁高校じゃん」
影「あぁ、伊達工業な」
日「・・・わかってるし!」
軽いミーティングの後、日向君に誘われた影山が広場でボールを使って体を動かしている・・・のを見ながら、みんなよりひと足遅れのお弁当を食べる。
それと言うのも、早く早く!と駆け出して行った日向君を見た繋心が、あの2人が無茶しないように私に見張っとけ・・・なんて言うからだけど。
影「多分・・・伊達工に負けたって聞いた試合は、東峰さんが部を離れた原因だ」
日向君からのボールを止めて、影山が日向君に顔を向ける。
日「あの旭さんを、徹底的に止めたっていうブロック・・・」
日向君が言いたいことは、私にも分かる。
東峰先輩が部に復活してからの練習や、さっきまでの試合で何度も見て来たあの強烈なスパイクを止める、とか・・・
しかもまぐれの1回ではなく、東峰先輩の心を砕いてしまうまで、何度も、何度も・・・
過去の試合データを見た事はないけど、伊達工業の試合は私もさっき直接見た。
だから東峰先輩のスパイクを止め続けたのは、絶対にあの強面の大きな人と。
それから、何となく誰かを思い出させるような・・・チャラチャラした軽い感じの、背の高い人。
あの2人のブロックは鉄壁と呼ばれるだけあって、その高い壁を破るのはそう簡単には行かないとも思えてしまう。
だけど、その鉄壁を壊さなければ・・・烏野は青城に手が届かない。
最後のひと口を飲み込み、マグボトルのミルクティーを流し込むと私達に歩み寄る足音が聞こえて、その方向を見る。
菅「ここにいたのか、探したぞ?」
「スガさん・・・すみません、居場所くらい連絡した方がいいですよね!えっと、もうすぐ試合が始まる感じですか?」
ガチャガチャと音をさせながらお弁当箱を片付けて謝れば、菅原先輩は試合まではまだ時間があるから慌てなくて平気だと笑った。
『試合が始まるから戻って来いとか、そういうのかと思いました』
菅「まぁ、あんまり時間ギリギリなのは困るけど、まだ大丈夫だよ。一応、試合の進み具合いは清水がチェックしてるし、なんかあったら清水から連絡来るから。それより日向と影山、ちょっといいか?」
菅原先輩はそう言いながら2人の前に立つと、ひとつ静かに呼吸をしてから頭を下げた。