第37章 その先にある未来
片付けを終わらせ、部員がストレッチを終えて集まり、繋心を中心としたミーティングが始まる。
私と清水先輩はそれをお互いのノートに記入していきながら、繋心の話に耳を傾けていた。
繋「・・・と、まぁこんなところか。いよいよ明日から大会が始まる。上を目指すのは悪いことじゃねぇが、上ばかり見てたら足元掬われる・・・そこはしっかり各自が頭に入れとくように。そんじゃ、今日はこれで終わ、」
武「あぁっ、ちょっと待って」
ミーティングの終わりを繋心が告げようとすると、武田先生が待ったをかける。
先生からも、なにか連絡事項とかがあるのかな?
閉じかけたノートをまた開けば、武田先生がみんなの方を向いた。
武「もうひとついいかな、清水さんから」
どうぞ?とジ合図をする武田先生を一瞬見て、清水先輩が姿勢を正す。
清「激励とか、そういうの得意じゃないので・・・・・・先生、お願いします」
なにか話があるのかと思えば、清水先輩は自分がつけていた記録ノートを私にそっと預けて、武田先生とパタパタと体育館の壁際へと移動する。
清「先生、運ぶのは私が・・・」
武「大丈夫ですよ、これくらい」
なにか大きなものを担ぎながらハシゴを登り出す武田先生と、その後に続く清水先輩をみんなが黙って見続ける。
武「そっち側いいですか?じゃ、行きますよ・・・せーの!」
武田先生の掛け声に合わせて、清水先輩もそれを持ち上げて・・・広げる。
バサリ・・・と音をさせながら広げられた物は、大きな大弾幕で。
その中心には、大きな文字で
〝 飛べ 〟
・・・と、書かれていた。
菅「こんなのあったんだ」
清「掃除してたら見つけたから、キレイにした」
やや緊張気味なのか、清水先輩は表情を固くしたままでみんなを見つめ続ける。
田「うぉぉぉっ!燃えてきたァ!!」
西「さすが潔子さんっ!イイ仕事するッス!」
「「よっしゃぁ!!じゃあ気合い入れて・・・」」
澤「まだだ。多分・・・まだ終わってない」
普段から清水先輩に張り付く田中先輩たちが、ここぞとばかりに騒ぎ出すのを、澤村先輩がそれを制す。
みんなが一斉に見上げている先には、落ち着かない様子の清水先輩がいて。
清「が・・・・・・頑張れ・・・」
たったひとこと言ってすぐにその場から移動してハシゴへと向かう。