第36章 目指すべき場所へ
影「チョロチョロしやがって···こンのチビが!」
山「ちょっ、影山!城戸さんは女の子なんだからさ、もうちょっと優しく、」
影「あぁっ?!」
山「ひぃっっっ···」
山口君···影山にビビりすぎだから···
月「王様はご乱心ですかぁ?」
月島君は火に油を注ぐのやめて!
影「チッ···」
月島君の言葉に舌打ちをしながら、影山が漸く私の頭から手を離す。
『頭取れるかと思った···私か日向君、どっちが先にそうなるかの世界だよ、ホント』
乱れた髪を直しながら愚痴れば、それを聞いた影山の眉間に深いミゾが刻まれる。
『な、なによ!』
影「いちいちピーピーうっせぇんだよ、チビ」
『チビって言った!!』
菅「あ、やっぱり!紡ちゃんの声がすると思ったらホントにいた!」
私をチビと言い放つ影山に文句を言おうとすると、階段の上から菅原先輩がひょっこりと顔を出した。
菅「今から部活行くんだろ?だったら一緒に行くべ!」
ちょっと待ってて~と言いながら姿を消した菅原先輩が階段を駆け下りてくる足音がして、澤村先輩と東峰先輩も一緒に姿を見せた。
澤「上の階まで騒がしいのが聞こえてたぞ?そんなに元気あるなら、今日の練習はいつもの倍でもいいな?」
旭「大地···元気があるのはいい事じゃないか?」
菅「そうそう!マネージャーが元気いっぱいの方がオレらもヤル気が出るって」
···それとこれとは、ちょっと違う気もするけど黙っとこう。
月「山口···先行くよ」
山「え?!あ、ちょっと待ってよツッキー!」
3年生組が来た途端にクルリと背中を向けて歩き出した月島君の後を追いかけて、山口君も立ち去ってしまう。
菅「どうせ行く場所おんなじなんだから、みんなで一緒に行けばいいのに」
旭「それはそうだけど···月島っていつもあんな感じなのか?」
既に姿が見えなくなった先を見ながら東峰先輩が言って、私を見る。
『あんな感じ···とは?』
旭「こう、なんて言うかさ?人を寄せ付けない空気っていうか、見た目も取っ付き難い感じっていうか···う~ん···言葉にすると難しいけど」
澤「取っ付き難くて人を寄せ付けない空気はお前もだろ旭···この見た目だけ成人が」
···。
菅「大地···それ言ったらダメだろ。旭は結構気にしてるんだからさ?」
旭「あはは···」