第35章 閉じた思いと、叶わぬ想い
そんな後ろ姿を見送って、ガサリとコンビニの袋からビタミンドリンクを出して口を付ける。
何度も、何度も口をつけては、枯渇した心に染み渡らせた。
大会会場で、か。
そもそもまだ対戦表さえ出ていないのに、負けませんと言い切る当たりがアイツらしいな。
どんなときも、どんなことも。
全力で、駆け抜けていた小さな姿。
今度は、誰かのために駆け抜ける姿を···見守ることになるんだ。
「行くか」
ペットボトルをゴミ箱に放り入れながら、来た時よりも人影が少なくなった公園内を歩けば、ポツリ、またポツリと滴が地面を濡らして行った。
雨···か?
立ち止まり見上げれば、空からはいくつもの滴が降り注ぎ始め、やがてそれは粒を大きくして辺りをを濡らしていく。
···皮肉か?
あの日も確か、ここからの帰り道に雨にやられて。
びしょ濡れになって···帰ったんだったな。
あの日も。
···今日も。
同じ雨に打たれながら、家までの道を進む。
しばらくはまた···あの場所へ足を運ぶことはなさそ
うだ。
角を曲がる前に1度振り返り、遠くに見える公園を見て···小さく息をついた。