第34章 スイッチ・オン
その後は、集合の声が聞こえてグイッと顔拭いて走り去って行ったけど。
何となく、その時の印象が残ってた。
日「ノヤっさん!アレ教えて!!カッコイイやつ!」
ガラにもなくぼんやりと考え事をしていると、翔陽がボールを持って駆け寄ってきた。
「カッコイイやつって、ローリングサンダー!のことか?」
そう言って返せば、翔陽はコクコクと大きく頷いた。
田「ブッヒャヒャヒャ!あのネーミングセンスをカッコイイとか思うのは日向ぐらいだな!」
「龍···お前···1発殴らせろ」
拳を握りしめてニコリと笑えば、龍が笑いながら逃げ回る。
「待て~龍!」
いつものふざけ合いの感じで追いかけ回せば。
ー 西谷先輩 ー
不意に聞こえてくる、紡の声。
「紡もローリングサンダーやるか?」
バッと振り返りながら言っても、そこに紡の姿なんてなく。
影「西谷さん、城戸は今日···いないっス」
「だよな?なんかいま、紡がオレを呼んだ気がしたんだけど···気のせいか」
確かに、聞こえた気がしたんだけど。
月「ふ~ん···西谷さん、耳だけは大きいんですね。誰かの声がよく聞こえるようにってヤツですか?」
山「ツッキー!気にしてる事言っちゃダメだって!」
「月島テメェ!耳だけはってなんだ!あと山口もな!」
月「そのまんまの意味ですケド?」
「なんだと月島ァ!山口とそこに並べ!いや、座れ!!オレの器のデカさを懇々と話してやる!」
山「ひぃぃぃ~!」
月「ハァ···面倒」
旭「おい西谷、あんまり騒ぐと···」
繋「コラァ~!お前ら騒ぐ元気あんなら休憩終わりだ!!東峰、さっさと練習始めろ!!」
コーチの声に、みんなが集まり出す。
さっき聞こえた気がした紡の声、なんだったんだ?
オレも見に行きたかったけど···せめて、気合いだけでも分けといてやるか。
両手を高く上げて、青城がある方向に腕を振る。
田「あ?ノヤっさん何やってんだ?」
たまたま目が合った龍がオレに変な顔を向ける。
「ちょっと···元気玉投げた」
田「は?!元気玉って···中二病かよっ!」
「うっせーな!いろいろ事情があるんだよ!」
茶化す龍にひと蹴り入れてコートに駆け出す。
「おら!さっさと練習はじめよーぜ!」