第32章 不協和音
国「紡。烏野はここの部屋···中に入れば松川さんいるから、後はそっちでいろいろ聞いて」
ひとつの部屋のドアを開けながら、国見ちゃんが私に言った。
国「オレらまだ他んとこの案内とかあるから行くわ」
『ありがとう国見ちゃん』
ヒラヒラと後ろ手に手を振る国見ちゃんを見送りながら、案内された部屋に入る。
松「お、来たな烏野···って、マジで紡ちゃんいるし!相変わらず、ちっさいなぁ!」
『こんにちは松川さん!って、マジでってなんですか?それと小さいのは余計です!』
べーっとしながら松川さんに言えば、小さいモンは小さいんだよとおでこをつつかれた。
っていうか、周りが大き過ぎるんだし。
道「あの、今日はいろいろとお世話になります!烏野女子バレー部の道宮です」
松「どうも、男子バレー部の松川です。今日は審判とか、そういうのもオレらでやるから審判メンバー出さなくていいみたいよ」
『そうなんですか?それは嬉しいです』
こっちはメンバーギリギリだから、試合の合間に出来るだけ体力温存して貰いから。
最悪は私と、後は澤村先輩と菅原先輩に頼み込んで審判出そうと思ってたから。
あれ?
でも、矢巾さんに国見ちゃんに金田一君···それから松川さん···審判の人数、足りる?
指折り数えていれば、松川さんがそれを見て笑いだした。
松「人数は平気。他にも花巻とか及川に、岩泉もいるからな」
···何だか凄いメンバーが審判してくれるんだ。
松「ま、ぶっ通しっつうのもアレだから、たまにオレと紡ちゃんが代わってくれてもオッケーよ?」
『あ、そういう事でし、』
澤「待った」
通しがキツイなら代わると言いかけて、澤村先輩の言葉で止まる。
澤「もし交代が必要なら、俺とスガが代わる」
菅「だね!今日のオレ達は道宮達のフォロー役も兼ねてっからさ。それに、紡ちゃんは今日は大事な選手だろ?」
松「選手?じゃ、やっぱり試合出んのか?」
『いえ。最悪はけが人が出たり、そういう時のための頭数要員ですから』
曖昧に答えてその場を凌ごうとしたら、背後にスっと誰かの立つ気配がして。
松川さんが···向こうは終わったのか?って声を掛けるのを聞いて。
何気なく振り返ると、そこには···
岩「なんだ、紡。相変わらずチビッ子だな。ちゃんと毎日、光合成してんのか?」