第32章 不協和音
道「ねぇねぇ城戸さん!あんなカッコイイお兄さんいるとか超羨ましいんだけど!」
「ホントホント!いいなぁ、私もあんなカッコイイお兄さん欲しい!」
練習が終わって女バレの部室で道宮先輩を含めたメンバーがキャッキャッとしながら囲んでくる。
『カッコイイですか?』
確かに桜太にぃはカッコイイけど、慧太にぃは···チャラいしヒゲだし意地悪だし。
道「カッコイイじゃん!桜太さんも慧太さんも···期間限定じゃなくてずっとコーチやってくれないかなぁ···なんちゃって!」
「城戸さんのお兄さんって、年いくつ?」
『私よりちょうど10コ上なので、26です』
「職業は?!」
『桜太にぃは、駅向こうの総合病院で小児科のお医者さんです。まだ研修医ですけど』
「「 お医者さんなのっ?! 」」
そんなに驚く事かな?うちは両親ともそうだったから、あんまり違和感ないけど。
「じゃあ慧太さんは?!」
『あ、慧太にぃは医者じゃありませんよ?ごく普通の美容師です。自分ではカリスマ美容師だとかアホなこと言ってますけど···確か清水先輩もお客さんだとか言ってました』
「「 カリスマ美容師?!だからかぁ! 」」
···だからの意味が分からないけど、なんでこんなに食いついてくるんだろ。
しかもカリスマ美容師ってのは、慧太にぃの自称···だよね?
しかも家では結構ウザイ。
すぐからかうし、意地悪するし、パンイチでウロウロするし、意地悪だし···あれ、意地悪はさっき言ったっけ?
「桜太さんはお医者さんで、慧太さんは美容師···キャー!診察されたい!」
「ばーか!小児科って言ってたじゃん!変態発言禁止!」
···。
なんなんだろう、この変な盛り上がり方は。
それとも、これが普通の女子の集まった会話なのかな?
元々そういう会話に慣れ親しんで来てないから、なんか違和感ありまくりなんだけど。
「でもさでもさ!あんなカッコイイ人がお兄さんより、彼氏とかの方が良くない?」
「「 それ分かるぅ~ 」」
···全然分かんない。
だって桜太にぃだよ?怒るとすっごーい怖いんだよ?!
それに慧太にぃだって!
あんなのが彼氏だったら、タバコ臭いしお酒飲んでソファーや床で寝るし、酔っ払って部屋間違えて同じベッドで寝るし!!
「そう言えば城戸さんってさ、彼氏とかいるの?」