第31章 ステップアップへのチャンス
~ 黒尾side ~
へぇ~···あのお嬢ちゃん、セッターの仕事もこなすのか。
烏野のマネージャーってのは、何でも出来るんだな。
「しっかしまぁ、よく動くねぇ」
夜「なにが?···あぁ、城戸さんのこと?」
隣でシューズの紐を結び直すやっくんが、オレの言葉に軽く反応する。
「そ。その城戸サンね、別名、お嬢ちゃん」
夜「別名って、それはクロだけが呼んでるんだろ。でもまぁ、さっきのレシーブといいセッターの仕事といい、烏野のマネは万能なんだな」
「だな。そして···プルん」
夜「プルん?なんだそれ?」
「プルんは···プルんだろ。やっくんも見てみ?お嬢ちゃんがトスをあげる度に、弾むように揺れる···胸」
オレが言うと、ゴボッ···と音を立ててやっくんがドリンクを吹いた。
夜「ク、クロ?!お前、どこ見てんだよ!!」
「どこって···プルんと揺れる、胸?イイよなぁ、女子マネがいる学校ってさ。ヤル気が漲るよなぁ」
ウチには女子マネなんていないし。
夜「クロ···何のヤル気を漲らせてんだよ」
「イイじゃん別に。プルんと揺れる胸は男のロマンだろ?それに短パンから出てる白くてほっそい足とか、纏めあげた髪で丸見えのうなじとか。あんなちっこいクセに···エロさ満開だな」
あんなんじゃ、あの主将を初めとするカラスたちがギラギラすんのも分かるっつーか。
もう1人のマネだって眼鏡美人だし。
···羨ましい限りで。
でもまぁ、お嬢ちゃんを見ている限り本人は全然全く、気付いてないみたいだけど?
純粋なのか、天然なのか。
さっき助けに入った部員に戸惑いもなく抱きつくとか、普通の女子はしないだろ?
そーいやさっき、お嬢ちゃんのアニキってのが来てたよな?
なんかこう、超絶デキルイケメンの見本···みたいな感じの。
ウチの監督とも顔見知りみたいだったから、バレー経験者って事だろうな。
双子って言ってたし、真反対な感じの2人だったけど。
あんなのが常日頃から側にいりゃ、目も肥えて天然で純粋っぽいのも、そりゃ仕方ないって感じか?
フフン···でも?
あのお嬢ちゃん···構うと反応面白いからな。
ここはちょっと、今後の為にも収穫してみっかな?
···あの小煩い主将に見せつけながら。
アッチも構うと面白いから。