第30章 ネコとカラスの対決と···
~ 日向side ~
くそっ!
せっかく影山がトス上げてくれてんのに···
「影山!次こそバシッと決めるから、トスくれ!」
影「いま、相手のセットポイントだ。ミスったらこのセット落とすぞ」
う···
「分かってる···決める!」
影山のやつ、テンション下げるようなこと言いやがって。
ー ピッ! ー
音駒からのサーブ来た!
ノヤっさんがレシーブして影山の方に···今だ!
いつものタイミング。
いつもの感覚。
何度も合わせてきた、この···タイミング!
思い切り床を蹴り、思い切り飛ぶ!
手のひらの中心にピッタリ来る、この感じ!!
よっし···あっ?!
オレの打ったボールはネットを超えることはなく、オレの足元へと落ちて行った。
音駒のブロッカーに···止められた···
犬「やっと捕まえたぁ!」
黒「犬岡ナイス!よく止めた!」
音駒の主将の声が、遠くから聞こえる。
ー ピーーーッ! ー
セット、落とした···
オレの、せいで。
澤「日向、ドンマイ!」
足が進まないオレの背中をキャプテンがひとつ叩き、そのまま押しながらコートが出る。
オレのせいでセット落としたのに、なんで誰も怒らないんだよ。
影「おい、いちいちへこんでらんねぇぞ···次のセット、取り返す!」
分かってる!···けど···また、止められたら···
繋「絶対に止められないスパイクなんかないんだ。迷うなよ」
「で、でも!」
田「次はキメたれ日向!」
西「グッとな!!」
みんなからの言葉が、次は大丈夫だって言われてるみたいで。
それが、落ち込みそうなオレの背中をグングンと押してくれてるみたいで···
旭「日向···お前なら大丈夫だ。頑張れ」
旭、さん?
ポンッと肩に置かれた旭さんの手が、優しい。
次のセットは取り返す。
止められないスパイクは、ない。
···頑張れ。
悔しいのは、オレだけじゃない。
なのに、みんながオレを責めたりもしない。
これが、烏野っていう···チームなんだ。
「はいっ!!」
誰より大きく、誰より元気に。
みんなの顔をジッと見ながら返事を返す。
次は···次こそは···負けない!
ー 練習試合は、試合の練習なんだからね! ー
いつか聞いた城戸さんの言葉を思い出し、オレはグッと手を握りしめた。