第30章 ネコとカラスの対決と···
~ 月島side ~
ここは全力でスパイク打ち込む素振りを見せて···
ボールの流れを横目に写しながら、ブロッカーを引き連れ全力で床を蹴る。
っと、真っ向勝負は回避ってことで。
影山からのトスを指先に当ててボールをネットの向こう側に落とす。
難なくボールはコートに吸い込まれ、小さく何度も弾む。
ほぅら、ダマされてくれた。
僕達1年メンバーが、あんな日向みたいな野生児とか、影山みたいなのばっかりじゃ···ないんだよ。
野生児軍団の中に、たまに僕みたいなヤツがいた方が、面白みがあるってもんデショ?
それに、この音駒のセッター。
セッターはチームの司令塔、だっけ?
って事は。
さっきのタイムアウトの後、音駒のブロック位置を指示したのは、多分···このセッターの指示だ。
ウチの王様とは似て非なる、ちょっと嫌な感じ。
田「ナイッサー!!」
黒「山本!!」
山「よっしゃー!」
烏野からのサーブを、音駒が当たり前のようにレシーブする。
犬「ナイスレシーブ!!」
ボールはセッターのいる場所に繋がれ、セッター自身も自分の役割を果たす為にボールを目で追う。
···来る。
さぁ、どこに上がる?!
僕はセッターから目を離さないようにネットに張り付く。
セッターにも、僕はここにいる···とプレッシャーをかけながら。
当然、それにも気付いてるセッターが動き出す。
どっちだ?!
微かに視線を動かしたのを、僕は見逃さない。
ライトか!
思考と同時に体が反応する。
なっ···?!
レフト?!
···今のは···フェイク、だったのか?!
呆気なくスパイカーに届けられたボールが、そのままこっちのコートに吸い込まれていく。
クソッ。
まさか、セッターのフェイクに···
さっきのツーアタックといい、今のフェイクといい。
僕をイラつかせる要素がたくさんあるヤツだ。
次は···絶対使わせない。