第29章 ネコと呼ばれる人達
~澤村side~
武「では、明日の段取りはこんな感じで行きましょう。僕と清水さん、それから城戸さんは僕の車で体育館へ向かうようになりますが、準備などはお願いしても?」
繋「あぁ、こっちの準備はメンバーがするから、先生はドリンクやら軽食なんかの運搬を頼む」
「お願いします。設置する場所なんかは、先に行く俺達で準備しておきます。だいたいの場所は既に紡に伝えてあるので、すぐに分かると思います」
武「わかりました。何かあったら城戸さんに聞けばいいんですね?」
はい、と返してながらメモを取っていたノートを閉じる。
武「いよいよですね、澤村君。それから烏養君も」
繋「あぁ。今の音駒がどういう感じなのかは全然わかんねぇけど、昔と変わらずだったらかなり厳しいぞ。気合い入れとけ」
「っス」
武田先生が必死に繋がりを作ってくれた音駒高校との練習試合。
青城の時もそうだったけど、顧問とは名ばかりですから···って感じで出来ることを頑張るからと一生懸命、俺達に経験を積めるようにアチコチ電話してくれて。
だけど俺は、そんな風に動いてくれる先生が名ばかりの顧問だとは思っていない。
昼間ジャージを紡に渡した時に言ったように、先生も、コーチも全員まとめて烏野バレー部だ。
コーチは音駒戦までだからな!とは言っていたが。
出来ることなら、これから先も俺達を指導してくれたら···なんて、思ったりするのは贅沢なんだろうか。
繋「んじゃ、もう時間も遅いしミーティング終わりにすっか」
武「では、僕は寝る前にひと回り戸締りなどの確認をして来ます。一応、責任者になってますから」
立ち上がる2人の後に俺も続いて先生の部屋から出る。
そう言えば、先生の部屋の隣は紡に割り当てられた部屋だったな。
そう思って何気なく視線を移せば、ドアの隙間から明かりが漏れているのに気づく。
まだ起きてるのか?
消灯時間はとうに過ぎているというのに?
寝落ちしてるって事も考えられるけど、まぁ、時間も時間だし女の子の部屋をノックするのは俺にはムリだな。
武「城戸さんはもう、寝入っているでしょうかね」
いつまでもドアを見続ける俺に、先生がニコニコとしながら声をかけた。
「電気消し忘れて寝落ちしてしまったんでしょうか」
気にはなるけど、そう答えるしか出来ないよな?
中には入れないし。