第29章 ネコと呼ばれる人達
繋「チビ助、コイツらの折角のサプライズだ。着てやれ」
『繋心···なんかニヤニヤされると、ムカつく』
繋「なんでだよ!」
言いながら自分がいま着ているジャージのファスナーを下ろし、袖を抜く。
嬉しさと、それから昂る気持ちで熱くなった肌が晒され、体育館のヒヤリとした空気が心地いいとさえ思える。
まだタグも付いている状態の真新しいジャージに袖を通し、新しく暖かい感触を噛みしめた。
日「城戸さん!スゲーカッコイイじゃん!オレたちとお揃い!」
月「小さすぎ?あぁ、お子様サイズってヤツね」
西「月島テメェ!誰がお子様サイズだコラァ!」
田「そうだぞ月島!ノヤっさんはお子様サイズじゃねぇ!小柄なだけだ!」
西「龍!お前もサラッとオレをディスるな!」
澤「お前ら!うるさーーーーい!!」
「「 サーセン!! 」」
きっと、わざと賑やかにしてくれてるんだと思う。
なのに、どうしてか次から次へと涙が溢れてきて止まらない。
日「あぁっ!城戸さんが泣いてる?!」
山「城戸さん?!ツッキーが言った事は気にしなくていいからね!あれは城戸さんの事じゃないからっ。西谷先輩の!」
西「おい山口!お前いい度胸してんなぁ!」
山「ひぃぃ···」
『違うんです!悲しくて泣いてる訳じゃないです』
止まらない涙を拭いながら、精一杯の言葉を放つ。
日「じゃあ、なんで?」
日向君が駆け寄り、自分のシャツを持ち上げて涙を拭き取る。
『凄い、嬉しくて。たったこれだけの事でって思われるかも知れないけど、なんか···みんなと同じなのが、嬉しいから』
特に気にしてた訳じゃない。
1年のみんながジャージを貰った時、さっきユニフォームを配られた時、それはそれで···みんながひとつのチームに所属してるんだって思えた。
だけど、心のどこかで私は?って思ったりとかもしてて。
いいなぁ···って、羨ましかったりもしてて。
日「城戸さん?みんなよりちょっと遅れてジャージ貰ったかもだけどさ。でも、そんなの関係なくて、城戸さんは最初っから仲間じゃん?」
『私が、仲間って言われてもいいの?』
日「うん、そう!オレと影山が体育館出入り禁止!ってキャプテンに言われた時から、もうずっとずっとオレ達の仲間だよ!ね!そうですよね、キャプテン!」