第29章 ネコと呼ばれる人達
研「いいよ···どうせ高校の間やるだけだし」
「ポジションどこ?」
研「···セッター」
「へぇ···!なんかウチのセッターとは違うな!ウチのはもっと、ガァ~ッて感じのヤツ」
研「ふ~ん···」
セッターって影山とか大王様みたいなのが多いのかと思ったら、研磨はなんかちょっと違う感じだなぁ。
菅原さん···とも、なんかちょっと違う感じだし。
「ちなみにオレはミドルブロッカー!」
研「へぇ~」
あれ、反応···薄い?
「やっぱり、変だと思う?背のデカいヤツがやるポジションだもんな」
研「うん···まぁ、そうだろうけど···別に。おれも試合とか行くとよく言われる。セッターは一番能力が高いヤツがやるポジションなのに、なんでアイツ?って風に。おれ、特別運動得意とかじゃないし」
まぁ、何となくそんな感じの···だけど。
「ふぅん?じゃあさ、お前の学校強い?」
研「う~ん···どうだろう、昔強かったらしいけど。1回衰えて、でも最近は···強いと思うよ」
言いながら研磨はオレを振り返り、ハッとするような目で···そう、言い切った。
なんだ、この···まっすぐな感じ。
「どこの···学校、」
ー 研磨! ー
いつか試合とか出来たらいいな!って、言おうとして学校名を聞こうと言いかけたとこに、研磨を呼ぶ誰かの声がして同時にその方向を見る。
研「クロ···じゃ···またね、翔陽」
「あ、うん···じゃあ···」
ー 勝手にフラフラすんな···知らねぇ土地なんだから ー
研「···ごめん」
そっか、研磨はさっき迷子って言ってた。
だからあの人は研磨を探しに来た人なんだ。
あれ···?
さっき研磨、オレにバイバイ、じゃなくて···またね?
またね、って、なんだ?
菅「あ···日向~!まったく、探したぞ?」
研磨が残して行った言葉の意味を考える間もなく、路地から菅原さんが現れた。
「すみません!なんか突っ走ってたら知らない場所に来ちゃって」
菅「今度から気をつけろよ?日向がどこ行ったか分かんないから、紡ちゃんも探してくれてたんだから。そだ、日向が見つかったって連絡しなきゃ」
城戸さんも?
···帰ったらきっと、いろんな人に怒られるという覚悟を決めながら、オレは菅原さんと一緒にロードワークのコースに戻った。