第29章 ネコと呼ばれる人達
日頃おとなしい人が···的な、アレですよね。
慧「わかんねぇのは、己のみってヤツだな」
桜「だから、何がだよ?」
慧「いいのいいの、桜太はそのままの桜太でいろよ?···オモシロイカラ」
最後の一言がよく分からないけど、悪いことさえしなければ、桜太にぃはいつも優しいからオッケーかな?
菅「あ、そうだ!さっきのコーチの話ですけど。今日来たコーチは、桜太さん達のお知り合いみたいでしたよ?」
桜「えっ?俺達の?」
慧「知り合い?」
菅原先輩、それいま言っちゃダメなやつ!
絶対に、慧太にぃから根掘り葉掘り聞かれて、後で私が困るヤツ!
菅「はい、確か···中学時代の同級生、とか?あと、武田先生は烏養監督のお孫さんだとか言ってました」
だからダメだって!
慧「あのじぃさんの孫って言ったら」
桜「心当たりは、一人しか浮かばないね?」
バレた。
そして二人ともめちゃくちゃ私を見てる!
桜「紡、もしかしてそのコーチって」
慧「烏養繋心か?」
バレてる。
『ハゲつる繋心、だったよ···』
呆気なく白状。
慧「マジか?!なんだその楽しい状況は!おい菅原、詳しく聞かせてくれよ」
桜「紡、コーヒー入れ直すから手伝って?」
菅原先輩は慧太にぃに聞かれる事をひとつずつ説明して行き、私は私で桜太にぃとキッチンで繋心の事を話していた。
『···でね、ハゲつる繋心が私を見て驚いて、お前はあのブラックツインズの妹か?!って』
桜「そうなんだ···へぇ、懐かしい呼び名だね」
···懐かしい?
って事は、やっぱりそういう風に呼ばれていた事があったって事?
『じゃあ···ズボン脱がしは本当だったんた···』
桜「ん?なに?」
『あ···ううん、何でもないよ』
聞けるわけないよ、私がそんなこと。
中学の時に、繋心の憧れのマドンナさんの前で···ズボンを下ろしましたか?なんて!
でも、私が小さい頃から知ってる桜太にぃは···
いつも優しくて、一緒に遊んでくれて、勉強も教えてくれて···怒ると怖いけど、でもちゃんとベクトルの方向を直してくれて。
だから多分、繋心のは···違う、と信じたい。
ちょっとふざけてたとか、そんくらいでしょ?
菅「えぇっ?!じゃあコーチが言ってたのは本当だったんですね」
菅原先輩、信じた側から心折るのやめて···