第2章 天才シンガー
「それでね、ハジメの言葉に私ビビってきたの。これは運命だって。」
早速クラスメイトに囲まれ、質問責めにあう月菜。先程の一件で俺とどういった関係なのかと聞かれ、恥ずかしげもなく、話を続ける月菜に頭を抱えた。そして、男子からの嫉妬の念を送られ、かなり教室に居づらい。会いに行くなんて言われはしたが、まさか青城に留学生としてやってくるなんて想像してなかった。しかも同じクラス。
「ハジメにまた会えて嬉しい。ハジメ、大好き。」
「くっつくな!離れろ!」
「ハジメってば照れちゃって可愛い!」
あの時は月菜が芸能人だってのも知らなかった。テレビに出てたってだけでも驚いた。それに加え生放送中の告白。後にLunaという歌手の存在を知らなかったのは俺だけだったらしく、花巻や松川、後輩達だってLunaを知っていた。そして、生放送中のあの告白の件は宮城に戻ってから部活でもその話題で持ちっきりだった。そんな話題の張本人がまさか青城に留学生としてやって来るなんて想像もしてなかった。つーか、未だに信じらんねえ。
あの時、仕事を逃げ出した月菜を怒ったが、まさかそれがキッカケでこんな事になるなんて夢にも思わなかった。今、過去に戻れるなら、あの日の俺に何があっても怒るな。余計な事は言うな。と忠告してやりたい。
「ハジメ、私と付き合ってよ。」
「断る。」
よく知りもしない奴と付き合えるか。月菜の告白をサラリと断ったが、それに対して男子から不満の声があがる。嗚呼クソうるせえな。
「そんなつれないハジメも好き。」
月菜に至っては何を言っても無意味なようだった。