• テキストサイズ

【HQ】きらきらひかる

第1章 運命を変える出逢い


 ホテルでの夕食を終え、風呂に入った。風呂から上がると、及川は食い入るようにテレビを見ていた。コイツがバレー以外でこんなに真剣にテレビ見んの珍しいな、なんて思いながら冷蔵庫からペットボトルを取り出しそれを飲んだ。


「お前も早く風呂済ませろよ。」
「あ、うん。これ見たら入るよ。」
「何見てんだよ?」
「今さ、アメリカで超人気シンガーのLunaが来日してて、今日これに出演するんだよ。Luna可愛いよね。」
「Luna?」
「え?岩ちゃん知らないの?それでも男子高校生ですか?」


 俺だって音楽位聞く。だが、それは日本の音楽ばっかりで、洋楽には疎い。だからアメリカの人気シンガーなんか言われてもピンとこなかった。


「ほら、今から歌うのがLunaだよ。」


 そういえば、アイツ今日の生放送の歌番組見ろった言ってたな。月菜の言葉を思い出しながら、及川が指さした画面を見る。そして、ステージに立つ女の姿を見て、驚いた。テレビの向こう側、マイクを握って歌いだしたのは、昼間俺を振り回した女、月菜だった。だが、ステージに立つ〝Luna〟と呼ばれるシンガーは俺を散々振り回し、我儘の限りを尽くした月菜と同一人物とは思えなかった。圧倒的な存在感に歌唱力。音楽に疎い俺でも、彼女の存在が異質であり、特別だと全身で感じた。初めて聴く歌なのに、その歌声は不思議と心を侵食していく。及川が隣で何か喋ってるが、それが耳に入らないくらい、俺は彼女の歌声に聴き入っていた。
 彼女が歌い終わると歓声と拍手が沸き起こった。


「Thank you!(ありがとう!)」


 その拍手に彼女は笑顔でそう応えると、再びマイクを握った。なんだ?もう一曲歌うのか?

/ 49ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp