第1章 運命を変える出逢い
「…そんな事言われたの初めて。うん、そうだよね。私、仕事に戻る。」
立ち上がった月菜は、サングラスを外した。吸い込まれてしまいそうな綺麗な瞳に一瞬にして惹き込まれた。月菜は俺の頬にキスをした。
「私、ハジメと会えて良かった、ありがとう。」
「お、おう…。」
突然のキスに驚きはしたが、アメリカでのそれは挨拶で、大した意味はない。でも、俺も年頃の健全な男子高校生だし、ドキドキくれえはする。
「ハジメ、今日の夜の歌番組見てね。生放送のやつ。私、またハジメに会いに来るから、私の事忘れないでね?約束だよ?」
そう言ってサングラスをかけ直した月菜は手を振って、一人来た道を戻って行った。月菜の背中を見送ると、ポケットに入れた携帯が鳴った。画面に浮かんだ文字は〝及川徹〟。やべえ、及川の事完全に忘れてた。携帯の通話ボタンを押した。
『ちょっと岩ちゃん!今どこにいんの!?』
「うるせえよ!」
『岩ちゃんの方がうるさいよ!もう、さっきからずっと電話してんのに、全然出ないし!』
「悪かったな。ちょっと色々あって、」
『取り敢えず、ホテルのチェックインの時間も近いし、ホテルに集合でいい?』
「ああ。」
携帯の通話終了ボタンを押し、ホテルへと向かった。