第4章 同じ土俵
「月菜!」
俺は月菜の元へと駆け出した。それを月菜のボディーガードに遮られた。手を伸ばせば届く距離にいるなんて、勘違いも甚だしい。どんなに手を伸ばそうとしても、届かない。これが今の俺と月菜の本当の距離だ。
「俺はお前と違ってただの高校生で、何も持ってねえ!月菜の気持ちに応える事も、自分の気持ちを伝える事も許されねえと思ってた。…いや、今もそう思ってる!だから、月菜の隣に並んでも恥ずかしくねえような男になる。プロになって、月菜を迎えに行く!だから、待っててくれ!お前の隣に並んでも恥ずかしくねえ男になれたら、俺の気持ち伝えに行くから!」
そう言って叫ぶ俺の体を押さえ込むボディーガード達。クッソ!邪魔すんじゃねえよ…!
「待ってる…!私、ずっと待ってるから!」
「Luna!」
マネージャーに名前を呼ばれ、そのまま遠くなっていく月菜。それをただ黙って見つめる事しか出来なかった。
それが俺と月菜が交わした最後の言葉だった。