第4章 同じ土俵
仙台空港に到着し、自転車を乗り捨て、国際線へと向かった。平日だっていうのに、異様に混雑してるのは、何処からか月菜が搭乗するという噂を聞きつけた連中のせいだろうか、通り過ぎる人達の口からLunaの名前が飛び交っていた。
「…クッソ!何処いんだよ…!」
不意に携帯の着信が鳴り、ポケットから携帯を取り出すと、液晶に映し出されたのは月菜の名前だった。
「おい!今何処にいんだよ!?」
『うわ!え、ちょ、何!?声、大きいんだけど!』
「何処にいんのかって聞いてんだよ!」
『今、空港にいるよ。スケジュールの都合で帰国早まっちゃって。ちゃんとお別れ言えなくてごめんね。昨日言おうと思ったんだけど、なんか言いづらくって…。』
「こんの、ボケ!そういう大事な事はちゃんと言え!」
『そんなに怒んないでよ。…悪かったって思ってるんだから。』
「お前はいっつも、いっつも俺の都合なんて考え無しに振り回しやがって!自分だけ言いたい事言ったらそのままアメリカに帰るなんてどんだけ自分勝手なんだよ!俺、まだお前に伝えてねえ事があんだよ!」
『…え?なんで…、』
電話から聞こえた声が、すぐ近くで聞こえたような気がして、顔を上げると、目の前に月菜がいた。
「…なんで、ハジメがここに…?学校は…?」
深くフードを被り、サングラスを掛けていた月菜。肉眼で表情こそは確認出来ないものの、その口ぶりから酷く驚いてる事が分かった。