第4章 同じ土俵
「でもさ、俺、そういうの関係無いと思うよ。立場が違うから好きになっちゃいけないなんて、誰が決めたの?好きなら好きでいいじゃん。そもそも、岩ちゃんがそういうので悩む時点で岩ちゃんらしくないし。それに、そんなに立場が気になるって言うなら、岩ちゃんも同じ土俵に立てばいいだけの話じゃん。」
同じ土俵に立つなんて、考えもしなかった。そうだ。コイツの言った通り、俺が月菜の隣に立っても恥ずかしくないよう、頑張ればいい。ただ、それだけの話じゃねーか。
「…クソ及川。」
「え?ちょっと岩ちゃん、俺、いい事しか言ってないよね!?」
「及川のクセにムカつく。」
「酷いよ岩ちゃん!」
ずっと悩んでたのが馬鹿らしく思える位、胸の奥に沈んでいた気持ちがスッと軽くなった気がした。いつも背中を押すのは俺の役目だと思ってたのに、まさか及川に背中を押される日が来るなんてな…。
「及川。」
「何?」
「今日はこのまま家に帰るわ。」
「…うん、分かった。」
及川に別れを告げ、急いで家へ帰った。