第4章 同じ土俵
「岩ちゃんに好きな人が出来て嬉しいって事!」
「は?」
いつ、そんな話になった。
「及川…お前、俺の話ちゃんと聞いてたか?」
「うん!」
「いつ俺が好きな奴がいるなんて言ったかよ!」
「痛い痛い!岩ちゃん痛いから!」
及川の首を締めると、大袈裟に暴れ出す及川。ギブ!ギブ!と俺の体を叩いた及川の首を解放すると、岩ちゃん、ゴリラなんだから自覚してよね、なんて言うから再び頭を殴ってやった。
「だってさ、住んでる世界が違うって、もし、そうじゃなかったら岩ちゃん、自分の気持ち、月菜ちゃんに伝えたでしょ?」
どうやら及川はさっきの言葉からそう解釈したらしい。違うと否定の言葉を口にしたかったが、事実、そうであった為、俺は何も言い返す事が出来なかった。