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【HQ】きらきらひかる

第3章 手を伸ばせば届く距離


「なんか岩泉、いつにも増して気合い入ってんなー。」
「別に普通だろ。」
「いやーなんか違う。」


 気合いが入ってるかどうかは別として、ここ最近は調子が良かった。ブロックが良く見えるし、スパイクもサーブもボールがやけに手に馴染む。


「さては月菜ちゃんだな。」
「は?なんでそこで月菜が出てくんだよ。」
「いやーだってさ、お前らいい感じじゃん?」
「どこをどう見たらそう見えんだよ!」
「もしかしてこのまま付き合ったりしちゃう訳?」
「ねーよ!」


 月菜は芸能人で、普通なら出逢う筈も無かった相手。今は留学で一時的に日本に来ているが、留学が終わればアメリカに帰る訳で、そうなってしまえば、もう二度と会う事もねえだろ。そんな相手に恋心を抱く程馬鹿じゃねえし、会えなくなる事を分かっていて、好きになる訳が無い。そもそも住んでる世界が違う。…って、これじゃあ、月菜が芸能人じゃなくて、日本に住んでたら好きになってたかも知れないって事か…?いや、無い。有り得ねえ。そもそも好きじゃねえし、好きになるつもりもねえ。


「無駄口叩いてねえで練習すんぞ!試合まで時間ねーんだぞ!」


 浮かび上がってきた疑問を打ち消すように声を張り上げた。



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