第3章 手を伸ばせば届く距離
「ハジメ今度大会あるんだってね!応援行きたい!いつあるの!?」
「お前が応援なんか来たら大騒ぎになるだろうが。」
「バレーしてるハジメカッコいいんだもん!見たい!」
ストレートに素直な気持ちをぶつけてくる月菜。散々月菜に言われてきた言葉ではあるが、月菜と出逢うまで、カッコいいなんて言われた事無かったから、そのフレーズに未だ慣れる事が出来ず、妙に気恥ずかしかった。
「十月二十五日から三日間。」
「三日間もあるんだ!」
「勝ち進んで行けばな。」
「二十五日からか…。」
「まあ、学校だな。」
「その日は朝から撮影入ってるから学校は休むつもりだったんだけどさ。でも、二日目の昼過ぎには終わると思う!だから応援行く!絶対行く!」
撮影があるとは言ったが、その撮影が行われるのは東京の筈だろうし、撮影後に宮城に帰って試合見に来るなんて、絶対キツいだろ。
「あんま無理すんなよ?」
「私の事心配してくれてるの?ハジメ、優しい!大好き!」
「くっつくな!うぜえ!」
拒絶を意味する言葉を発したが、月菜が編入して来た頃と比べると、その拒絶の言葉に対してその言葉の通りの意味は込められてなかった。