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【HQ】きらきらひかる

第2章 天才シンガー


 及川の予想通り、朝練後、正門の方には記者達が月菜の登校を待っていた。あんな事くれえで、こうも騒ぎになるなんて芸能人も大変だな、なんて思っていたら、報道陣が一気に動いた。


「Luna、昨日手を繋いでた子が噂の〝ハジメ〟ですか!?」
「今回の日本への留学もやはり〝ハジメ〟が関係してるんですか!?」
「今回の留学は社会勉強の一環よ。私だって高校生だもの。普通に学校に通ってみたかったのよ。」
「それなら何故東京ではなく、宮城へ?」
「それを決めたのは私じゃないもの。」


 女子一人を大勢で囲み、マイクやカメラを向けるその姿にやけに腹が立った。なんて思った時にはもう勝手に体が動いていて、その人の輪を掻き分けて、月菜の手を掴んだ。ビックリした表情で俺の顔を見つめる月菜。そして、その輪に飛び込んだ事で、月菜に向けられてたマイクは俺へと向けられた。


「もしかして君が噂の〝ハジメ〟?」
「だったら何だよ?」
「はいはーい!皆さん邪魔ですよー!」
「月菜ちゃん、おはよう。」
「ほら、HR遅刻しちゃうよ。早く行こう。」
「皆、なんで?」
「だって、友達が困ってたら助けるに決まってるでしょ?」


 そう言ってその輪の中に飛び込んできたのは及川や花巻、松川だけでなく、温田や志戸、沢内、二年、一年。バレー部のほぼ全員が月菜を囲む報道陣から月菜を守るようにその中に入って来た。


「ほら、行こう。」


 月菜をバレー部で取り囲み、その輪の中心にいた月菜を校内に入れた。


「友達なんだから、こういう時は頼ってよ。」
「…うん、ありがとう。」
「ほら、岩ちゃん、手は離そっか。流石にそれは見られたらマズいし。」
「あ、嗚呼。」


 及川に促され、握っていた月菜の手を離した。手を離すのを惜しいと思った。…なんでだ?


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