第2章 天才シンガー
「ねえ、これ岩ちゃんでしょ?」
朝練が始まる前、そう言って携帯を見せてきたのは及川。その画面に映るのは、今朝のニュースで映っていた写真と同じ物。
「は?ネットでも出回ってんのかよ?」
「昨日やけにロードワークから帰ってくるの遅かったから何してたのかと思ったら、月菜ちゃんと愛引きしてた訳?お母さんは岩ちゃんをそんな子に育てた覚えはありませんよ!」
「クソ川に育てられた覚えはねえよ!」
「おじいちゃん、おばあちゃん、岩ちゃんが反抗期よ!」
「あんまり母さんを悲しませるんじゃないぞー。」
「そうだ、そうだ。母さんに謝りなさい。」
及川のおふざけに花巻、松川も参戦。コイツらのこういう所、ほんっと腹立つわ。
「で、どういう事なのさ、実際。」
「記者に追い掛け回されて、塀に登ったら降りれなくなってたから手貸しただけだ。別にお前らが想像してるような事は何もねえよ。」
「なーんだ、つまんないの。」
お前を楽しませる為にやってるんじゃねえっつーの。