第2章 天才シンガー
てっきり放課後も休み時間の時と同じく付き纏われると思っていたのに、HRが終わるや否や月菜は慌てて教室を出て行った。教室の窓から見える正門には、ここは東京かと疑いたくなるような凄まじい数の報道陣。転校初日でもう噂になってんのかよ。すげえな、と思いながら、報道陣に囲まれる月菜を遠目で見ながら、部活へと向かった。
「岩泉さんのクラスにLunaが転入してきたって本当ですか!?」
体育館に着くや否や、後輩達に一斉に囲まれた。やっと月菜から解放されたと思ったのに今度はコイツらかよ…!
あの人気シンガーであるLunaが編入してきたという事は既に全校生徒に知れ渡っていたみたいだった。
「五組じゃなくて六組に編入してくれたら良かったのに。だって岩ちゃんついこないだまでLunaの事知らなかったんだよ!」
その及川の言葉に岩泉さんマジっすか?と何故か憐れみの目で見られた。そして部活の帰りに渡から、Lunaの曲凄くいいんで、良かったら聞いてみてください。岩泉さんも気に入ると思いますよ、と言われiPodを渡された。それが及川のだったら突き返したが、相手は渡。渋々それを受け取って相変わらずLuna、Lunaと五月蝿い及川と共に帰った。