第1章 泣かないで…僕の愛しい人(蒼井)
〈蒼井side〉
僕が彩花の彼氏が二股をかけていると知ったのは今からちょうど半年ほど前。
イベントの仕事が終わった帰りにアイツが彩花じゃない女の子と歩いているのが目に入ったのだ。
「おい!!」
「ん?あ、彩花の幼馴染みの……」
「お前、まさか彩花を騙してたの?」
「は?あー、彩花?あいつは遊びに決まってんじゃん。」
「……!?」
あいつは笑いながらそう言った。
彩花は、本当にこいつのことを想っていたに……僕はあの子が幸せならそれでよかった。
それなのに……こいつは……
「ふざけるな!!あの子がどれだけ……お前を想っていたか……」
「……あんた、彩花が好きなのか?だったらあいつ、あんたにやるよ。正直、邪魔なんだよね」
「……………あの子はものじゃない!!」
僕は叫び、胸ぐらをつかんでいた。
「彩花と別れろ。お前みたいなやつにあの子はふさわしくない。」
僕は乱暴につかんでいた服を離しその場から離れた。