第13章 迎賓と少女
その話をすぐに切ろうと別の話題を探った。
「ルルは、いつから勉強してるんだ?その話し方とか。」
ルルがもし10年前の記憶のままなら、まだ大分幼いはず。
それなのに、きちんと弁えている話し方が気になった。
「物心ついた時からでしょうか。お母様が大変厳しく、わたくしにカヅキの跡継ぎとして、礼儀作法は大体教わって参りました。」
カヅキ家での暮らしの話をすると、表情が暗くなる。
「でも…お母様は誉めてくれたことがありません。」
「すまないな、そんな話をさせて。」
「いいえ。事実でございますから。」
ルルは慌ててクロロの謝罪を否定した。
屋敷にいた頃の辛さを思い出し、部屋を見渡すと、随分あの頃に比べて幸せに過ごしたかを垣間見ることが出来た。
きっと、このうちに来て、自分は救われたのだろう。
「お助け下さって、ありがとうございます。」
笑顔の彼女は、前の彼女の面影そのままだった。
ルルは、ルルのままなんだ。
そう思えると、愛しさがこみあげた。