第11章 トランプと少女
「出てくるの?入っていいの?」
「今、行く。」
部屋への入室は相変わらず拒否された。
彼女との聖地になっているのだろう、他人の侵入を酷く怯えて拒んでいた。
居間のソファーに座り、コーヒーを一口飲み、呆然としている団長の姿を見たくない。
シャルナークは真剣にそれを思い、口に出してしまった。
「いい加減にしてくれない?鬱陶しいんだけど。」
「…どういう意味だ。」
むっとしてクロロが呟く。
「女にたかが一回拒否されただけでめそめそめそめそ、食べ物の好みだけじゃなくて精神まで女々しいのかよ。」
シャルナークが嘲笑いながら言った。
「あいつを、たかがその辺の女と同じ扱いをするな!」
「だから、なんで後を追わなかったんだって言ったんだよ!後悔するのは団長なんだ。それをわかっていながら追わなかった。
それは団長が原因だろう?」
「お前に俺の気持ちがわかるか?大丈夫だって声掛けて怯えられる。仕舞にはあんなとんでもない奴にしがみつく。」
「だから追って助けるんだろう!彼女が好きでしがみついてさらわれたとでも思ってる?」
「…。」
「俺たちさ、そんな女々しい団長のお守りしたいわけじゃないんだ。ちゃんと付いていきたいって思ってる。
ルルちゃんとの幸せを願ってる。でもなんで張本人がそんないじけてるわけ?」
シャルナークに言い負かされた感は拭えないが、言っていることは全て正論だった。
何故行動を起こさなかったのか。
何故今ここで落ち込んでいるのか。
いつの間にか立って論争をしていた二人は落ち着いて席に着き直した。
「お前の言ってることが正しいな。俺は何をしてたんだ…。」
クロロは俯き、そう呟いた。
早くどちらも取り戻さないと、やばいことになる…。
漠然とだが、そう思う。